次に、中学校、高校におけるメリットは、これまで入学願書や調査書等の多量の書類を取り扱う必要があったが、ウェブ出願の導入によりペーパーレス化を実現することに伴い、中学校では、生徒が記入した入学願書を一枚一枚点検し、高校に郵送する作業が不要となる。また、高校では、提出された書類の記載内容を転記することや、コンピュータに書類の記載内容を入力して点検する作業が不要となるため、誤りを防止するなどのメリットがある。
さらに
教育委員会でも、海外に在住する生徒の出願資格の確認などについて、これまでは国際郵便で書類を提出してもらい出願資格を確認していたが、オンライン化により、迅速に確認が行えるようになるため、保護者や海外日本人学校の教員の負担軽減などのメリットがある。
9: 【
河合洋介委員】
ウェブ出願システムのアクセス権限者、アカウントの管理方法について伺う。
10: 【
高等学校教育課長】
ウェブ出願システムは、志願者、中学校や高校の教員及び
教育委員会の担当者がアクセス権を持って利用することができるようにする。
アカウントの管理について、中学校と高校では限られた教員のみが操作することとし、志願者は自分自身、中学校は自校の生徒、高校は出願した生徒の情報しか閲覧できないようにする。
また、セキュリティー対策として、不正アクセスを防止するため、ウェブ出願システムにログインする際に、ワンタイムパスワードによる2段階認証を必須とする予定である。
11: 《一般質問》
【
山田たかお
委員】
県立津島高校で面接試験を辞退した生徒に誤って合格判定を行ったことについて、どのような経緯で合格発表者の誤認に至ったのか。
12: 【
高等学校教育課長】
当該生徒は学力検査を受検した後に、面接試験を受検せずに受検辞退届を提出した。面接試験を受検しなかった時点で、当該生徒を欠席者として取扱い、校内順位の決定作業から除外しなければならなかった。しかし、当該生徒が面接試験を欠席したという情報が校内で十分共有されておらず、情報処理担当者まで伝達されなかったため、当該生徒をデータ上欠席者としなかった。そのため、当該生徒に校内順位がつき、合否判定を行う県
教育委員会のコンピュータにデータが入力され、誤って合格者として判定された。
また、校内順位を決定する際の面接試験の取扱いについて、県立津島高校では面接試験の結果をA、B、Cの3段階で評価し、校内順位を決定する
一覧表に記入している。その際、
一覧表を見やすくするため、最も多くなるB評価については例年記入していないことから、当該生徒は、
一覧表には学力検査の点数のみ入力されており、面接試験の結果は空欄となっていた。しかし、その空欄は、いわゆる欠席者としての空欄か、面接試験を受検した上でB評価を受けた者としての空欄であるかを読み取ることができない状況であった。
13: 【
山田たかお
委員】
本年3月13日からマスクの着用が個人の判断となるが、各学校においてどのように対応するのか。
14: 【
保健体育課長】
学校でのマスクの着用について、本年2月10日付けで国から通知された卒業式に関するマスクの取扱いに、学校におけるマスクの着用の考え方の見直しについては本年4月1日から適用するとされ、本年3月31日までの年度内における卒業式以外の学校
教育活動においては、従来どおりメリハリのあるマスクの着用をお願いするとしており、同日付けで県
教育委員会から県立学校、市町村
教育委員会にその旨を通知している。
また、本年4月1日以降の対応については、現時点では国から通知が届いていないため、届き次第、速やかに学校等へ通知する予定である。
15: 【いなもと
和仁委員】
教育現場におけるeスポーツの在り方に対する県
教育委員会の考えを伺う。
16: 【
高等学校教育課長】
eスポーツは年齢や国籍、障害の有無にかかわらず誰もが参加できることから、近年、共生社会やダイバーシティー社会の実現に寄与するものとして、その社会的意義が認められている。こうした中、国民体育大会などの文化プログラムの一つとして、全国都道府県対抗eスポーツ選手権などが開催されるなど、徐々に普及が進んでいる。
教育現場においても、国内外のチームとの対戦によるチームワークの育成、語学力及びコミュニケーション能力の育成に効果的であるとして、授業や部活動に取り入れる学校が増えている。文部科学省も高校生対象のeスポーツの全国大会を後援するなど、国として後押しする姿勢を示している。
一方で、eスポーツを学校
教育の中に取り入れる際には、高速の通信回線、高性能パソコンといった環境整備に多大な費用がかかることがあり、加えて指導者の確保も難しいなどの課題もある。こうしたことから、eスポーツを学校
教育における有効な
ツールの一つとして活用していくために、民間企業等の物的及び人的な支援が不可欠である。
17: 【いなもと
和仁委員】
令和元年度と比較して、県立高校の部活動におけるeスポーツの状況はどのように変化したのか。
18: 【
高等学校教育課長】
令和元年度にeスポーツに関する部活動が置かれていた県立高校は、城北つばさ高校のみであったが、現在は小牧工科高校と犬山南高校に置かれている。小牧工科高校ではコンピュータ制御部があり、この部活動の中でeスポーツ班が活動している。部員の中にはこの部活動に参加するために小牧工科高校に進学した生徒もおり、eスポーツが学校の魅力化にも一役買っている。
また、犬山南高校では、来年度からeスポーツ研究会が正式にeスポーツ部として独立する見通しである。eスポーツ研究会では、生徒が地域の中学生にeスポーツを教えたり、海外の大学生と交流したりすることでコミュニケーション力や語学力を向上させているとの報告もある。また、犬山南高校は、来年度からDX人材や起業家マインドの育成を柱とした総合学科に改編するが、現在も、情報の授業の中でeスポーツ研究会を支援している企業から講師を招き、eスポーツを導入してプログラミングを学ぶなどの取組を展開している。
県
教育委員会では昨年5月に犬山南高校の実践報告を全県立高校に配布し、eスポーツの
教育効果や社会的意義について周知している。現在eスポーツに取り組む県立高校で活動を継続させ、その他の高校でもeスポーツを広げるためには、民間企業等との連携が不可欠である。IT人材育成の観点からも、引き続き好事例を収集し、
教育活動にeスポーツを取り入れることを検討する学校に提供していく。
19: 【
犬飼明佳委員】
本年度、県立高校において、不登校生徒を対象にスタディサプリを活用した支援を行ったが、どのように活用したのか、具体的な有用事例や課題を伺う。
20: 【
高等学校教育課長】
スタディサプリには講義動画、到達度テスト、アンケート機能及びメッセージ機能の四つの機能があり、各学校はこれらの機能を生徒の状況によりそれぞれを組み合わせて支援を行っている。
ある事例では、小中学校での不登校経験者で現在は登校できている生徒に対し、到達度テストで生徒の学力を診断し、本人がつまずいているところまで遡って学習動画を視聴させ、小中学校段階の学び直しに取り組ませることができた。
また、高校で不登校状態にある生徒について、学習動画の視聴だけではなく、アンケート機能を使って生徒の学習や生活状況についての質問を投げかけ、メッセージ機能を使って具体的なアドバイスをするなど、不登校状態にある生徒へのアドバイスや相談を行うことなどに活用している事例もある一方で、活用がうまく進まない事例もある。スタディサプリのIDを生徒に渡すのみで、教員が積極的な働きかけをしなかった学校では、十分な効果を上げられていない状況である。
今後は、不登校生徒に対する効果的なスタディサプリの活用事例を各学校に提供するとともに、不登校生徒を抱える担任など、教員対象のオンライン研修を実施することで、生徒一人一人の状況に合わせて有効に活用できるようしていく。
21: 【
犬飼明佳委員】
来年度、中川青和高校など全日制単位制高校に改編する学校は、特別選抜を経て、不登校経験者が一定数増えることが予想されるが、県
教育委員会ではこのような不登校生徒に対し、どのような支援の充実を図っていくのか。
22: 【
高等学校教育課長】
来年度も引き続き、スタディサプリを活用した不登校生徒への支援を行い、不登校生徒を対象にした特別選抜を行う、中川青和高校をはじめとする全日制単位制高校では、他の全日制高校よりも多くの不登校生徒や不登校経験者が入学するため、必要な数のIDを学校に配布する。また、他の全日制や定時制の学校についても、不登校経験者等に必要なIDが配布されるようにしていく。
こうした取組により、不登校であったために小中学校段階の学び直しが必要な生徒や、高校入学後に欠席がちとなった生徒に対し、積極的な活用を促して有効な支援が行えるようにする。
23: 【
犬飼明佳委員】
若者・外国人未来塾におけるスタディサプリの活用状況を伺う。
24: 【生涯学習課長】
県内9地域の若者・外国人未来塾の各実施団体にスタディサプリを利用するためのIDを配布し、昨年10月から利用を開始している。若者・外国人未来塾の各実施団体からは、スタディサプリ内の問題を宿題として取り組ませた、小中学校段階の復習に利用した、自宅が遠くて頻繁に塾に通えない塾生や自宅から出られない塾生の学習
ツールとして活用したなどの報告を受けている。
25: 【
犬飼明佳委員】
若者・外国人未来塾では来年度もスタディサプリを活用するのか。
また、本年度の活用状況を踏まえ、来年度はどのように活用していくのか。
26: 【生涯学習課長】
来年度も4月から、本年度配布したIDで引き続きスタディサプリを活用していく。また、新規のIDについても、塾生からの希望に応じて随時配布していく。活用方法については、本年度の活用事例の中で、スタディサプリ内の問題を宿題として取り組ませた結果、若者・外国人未来塾での個別指導と併せて高い学習効果が得られた、塾生の学力に応じて小学校段階の内容まで遡って学ばせることができたなどの報告があるため、来年度は、このような効果的な活用方法について各地域の若者・外国人未来塾で共有していく。
また、若者・外国人未来塾の塾生の高卒認定試験の合格に向けた学習支援では、学科の専門性が必要であるため、個々の学習支援者が十分にカバーできない分野がある場合は、スタディサプリで補うなど、実情に応じて効果的に活用するよう若者・外国人未来塾の各実施団体に促していく。
27: 【飛田常年
委員】
市立の特別支援学校を設置する際に、県は市に対してどのような支援をしてきたのか。
28: 【特別支援
教育課長】
市が行う校舎等の整備に要する費用について、確実に国庫補助が受けられるよう市
教育委員会に対して助言等をするとともに、国庫補助の対象となる経費から国庫補助金を差し引いた残額、いわゆる補助裏に対して県独自の補助金を交付している。
また、新設する学校の教員については、開校当初から適切な指導が行えるよう、新設校と同じ障害種の特別支援学校で勤務経験のある教員を基本に県が主体で配置した。さらに、開校後も教員研修を県立と市立の区別なく実施し、教員が専門性を高められるよう配慮している。
29: 【飛田常年
委員】
市立の特別支援学校の中学校を卒業した生徒が継続して高等部も居住地域付近で学べるとよいと考えるが、県
教育委員会の考えを伺う。
30: 【特別支援
教育課長】
特別支援学校は小中学校に比べて学校数が少なく通学区域も広いことから、居住地域以外の市町にある特別支援学校に通う生徒が多い。しかし、共生社会の実現に向けたインクルーシブ
教育システムを構築する上で、障害の有無にかかわらず、居住地域付近で学ぶことのできる環境を整備することは極めて重要である。そこで今後、高等部を設置していない市立の特別支援学校を新設する場合は、小中学部で学んだ生徒が高等部の段階も引き続き生まれ育った地域で学べる方策について検討していく。
31: 【飛田常年
委員】
新しく建造する愛知丸の特徴は何か。
32: 【
高等学校教育課長】
現在の愛知丸は総重量約299トン、全長約46メートルであるのに対し、新たに建造する愛知丸は、総重量約500トン、全長は約57メートルに大型化する。大型化することにより、実習を行う甲板の面積、船内の実習スペース及び居住空間が拡大するとともに、女子生徒の増加や船内で感染症が発生した際に対応するための個室を5室設ける。
また、総重量324トン以上の船舶に義務づけられている救助艇を積載するため、救助艇を使った訓練を静岡県の焼津水産高校の実習船を借りて行っているが、この実習を自前で行うことができるようになる。さらに、水産海洋業界における技術革新の加速化に対応するため、ドローンや水中ロボットなどの先端機器を搭載し、実習の質を高めていく。
33: 【飛田常年
委員】
今後どのようなスケジュールで建造を進めていくのか。
34: 【
高等学校教育課長】
来年度4月上旬に建造工事の公告を行い、5月中旬に一般競争による入札、仮契約を行う予定である。また、総工費が約38億円であることから議会における議決案件となるため、令和5年6月定例議会に上程し、議決を得て、7月下旬に本契約を行って建造を開始し、2025年の3月下旬までに完成、4月からの就航を目指している。
35: 【飛田常年
委員】
就航後はどのように活用していくのか。
36: 【
高等学校教育課長】
2025年4月の就航後は、従来のカツオの一本釣りをはじめとする漁獲実習や船舶通信実習に加え、高性能カメラを搭載したドローンを活用し、上空からの海洋環境調査や水中ロボットを活用した水中生物の観察、海水を採取しての汚染の度合いを調べるなど、幅広い分野の実習に活用していく。
また、大型化により船の安定性が増すという利点があるため、現在実施していないグアムやサイパンなどへ国際航海を行い、長期にわたる遠洋漁業や海外の港への入港などを生徒に体験させる予定である。
このように、愛知丸を活用した実習を充実させることにより、将来、世界の海を舞台に活躍できる水産海洋分野のスペシャリストを育成していく。
37: 【佐波和則
委員】
本県における教員不足や採用選考試験の志願倍率はどのような状況か。
38: 【教職員課長】
昨年度5月1日現在、名古屋市を除く本県の公立の小学校で57人、中学校で50人、高校で15人、特別支援学校で3人、全体で125人の教員不足が生じた。また、本年度5月1日現在の状況は、小学校で86人、中学校で59人、高校で17人、特別支援学校21人、全体で183人の不足であり、昨年度より58人増加している。
次に、小中学校、県立学校を合わせた教員採用選考試験の過去5年間の志願倍率は、2019年度採用については5.1倍、2020年度は4.5倍、2021年度は4.3倍、本年度は4.1倍、来年度採用は3.7倍であり年々減少傾向にある。
39: 【佐波和則
委員】
臨時的任用教員や非常勤講師の不足に対して、学校現場ではどのように対応しているのか。
40: 【教職員課長】
学校現場において、臨時的任用教員や非常勤講師が見つからない場合、小学校では本来、学級担任を持たない教務主任や校務主任が学級担任を担当し、中学校や県立高校では、在籍する教員が担当する授業時間数を増やすなど、役割を分担して対応している。
41: 【佐波和則
委員】
教員不足に対するこれまでの取組と今後の対応及び教員採用試験の在り方について伺う。
42: 【教職員課長】
教員不足の解消に向け、正規職員の積極的な採用を進めており、来年度4月の採用については1,710人とし、本年度4月採用の1,570人から140人増員している。
採用計画については、これまで退職見込数や児童生徒数の増減に伴う教員の過不足数などを考慮して策定してきた。今後は、定年引上げにより定年退職者が隔年で出ない年度が生じるが、教員不足解消のほか、少人数学級、教科担任制の拡大や中高一貫校の開校も見据え、積極的な正規教員の採用を継続して進めていく。
さらに、教員不足の根本的な解決のため、教職の魅力を向上させ、教員志願者を増加させることが必要である。引き続き、外部人材の活用などにより働き方改革を進め、働きがいのある魅力的な
教育環境づくりを積極的に進めていくとともに、各大学で教員志願者を対象に開催する説明会で働き方改革の取組の状況を伝え、教員の魅力を伝えるために作成したパンフレットを県立学校等へ配布し、進路指導で活用してもらうなど、今後も啓発活動に努めていく。
また、来年度は教員採用試験の募集のポスターを新たに名古屋鉄道の名古屋駅や金山駅などの主要駅を含めた50駅に掲示するなど、教員採用試験について広く周知し、志願者増加に向けた取組を進めていく。
教員採用試験の在り方について、より受験しやすい試験を導入し、有益な人材を確保するため、市町村
教育長や校長等から意見を聴くなどして、常に教員採用試験の改善を図っている。
また、来年度実施する採用試験では、特別選考や出願要件など4点を見直す予定である。
1点目は、講師経験者等を対象とした特別選考について、これまで常勤講師等として勤務実績が3年以上あり、出願時に勤務する学校長から推薦を得られた者を対象として、一次試験の教職教養、教科専門、小論文のうち教職教養を免除していたが、来年度はさらに、市町村
教育長や県
教育委員会がその実力を認めた者に対して、一次試験を全て免除し、二次試験の面接のみで選考する。
2点目は、教職に関する専門的知識を学んでいる教職大学院の修了見込者も、一次試験を全て免除して二次試験の面接のみで選考する。
3点目は、特別支援学校の出願要件について、これまで特別支援学校教諭免許状の所有、または取得見込みであることを必須条件としていたが、特別支援学校教諭の免許状は所持していなくても、小学部や中学部、高等部等に対応する教員免許状を所有または取得見込みであれば受験可能とする。
4点目は、今後の中高一貫校の配置や小中学校間での人事異動などを考慮し、新たに複数教員免許状所持者は一次試験の際に加点し、複数免許を所持する者が多少有利となる配慮をする。
また近年、全国的に採用試験の志願倍率が低下しているため、国では教員採用選考試験の在り方について協議している。今後、本県においても、受験機会の拡大や試験の実施時期の早期化などを検討し、受験しやすい環境を整備するとともに、優秀な人材を多く確保していきたい。
43: 【神戸洋美
委員】
本年度末で、成瀬スポーツ局長と横井
教育委員会事務局長が退任されると聞く。
成瀬スポーツ局長は、本県のスポーツ行政に長く関わり、国際スポーツ大会推進監、公益財団法人愛知・名古屋アジア競技大会組織
委員会事務局長などを歴任の上、スポーツ局長に就任した。特に、アジア競技大会の招致や開催準備に尽力し、先頭に立ってリードしてきたと聞いている。また、本県の主要政策である中部国際空港にも、事業計画の段階から開港準備、利用促進まで深く関わってきた。
こうした経験を踏まえて、スポーツ局長として感じたこと、また、今後の愛知のスポーツ行政への思いを伺う。
44: 【スポーツ局長】
愛知県に採用後、中部国際空港や首都機能移転、リニアなど様々なプロジェクトを担当し、最近の10年間はスポーツ大会、特にアジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催準備に取り組んだ。アジア競技大会及びアジアパラ競技大会については、開催まであと3年半で、これからが正念場である。
また、愛知国際アリーナの整備運営、トップアスリートの育成、マラソンなどの各種大会やモータースポーツ、障害者スポーツによる本県の盛り上げなど、取り組むべき課題や、やり残した課題は多く、これから携わる者全員が心と力を合わせて協力して推進していくことが大変重要だと感じている。
45: 【神戸洋美
委員】
次に、横井
教育委員会事務局長は、昭和60年4月の奉職から38年の長きにわたり
教育行政に尽力した。特に、教職員課長、総務課長、事務局長など要職を歴任し、教員の働き方改革、県立学校の再編など、
教育行政の推進に精力的に取り組み、また、温厚な人柄で部下からの信頼が大変厚かったと聞いている。これまでの本県の
教育行政を振り返りつつ、今後の愛知の
教育への期待について伺う。
46: 【
教育委員会事務局長】
教育委員会で勤務した38年間、特に県立高校に求められる役割が変化したと感じている。入庁して間もなく、現在の複合選抜という公立高校を2校受験できる全国的にも例のない制度への大変換が行われた。当時は経済が右肩上がりで、生活水準の底上げが進む中、高校への進学意欲が非常に高まるとともに、中学校の卒業者数も年々増加し、全日制高校への進学希望者が増え続けた時代だった。本県では公立高校の人気が高く、各地に新しい県立高校を建設しながら募集生徒数をできるだけ多く確保することが至上命題であった。当時は45人学級であったが、それでは収容しきれず、47人学級制も取り入れながら募集計画を立てていたと聞いている。
その後、子供の数は急激に減り始め、
平成元年には11万6,000人程度であった中学校の卒業生が、
平成18年には6万8,000人程度と激減した。この間も、人気の高い県立高校は引き続き生徒が集まったが、定員割れを繰り返す指導重点校が出現するなど、二極化の様相を呈していた。
令和に入ってからは、不登校を経験した生徒が通信制や昼間定時制など、自分のペースで学べる学校や、独自の魅力化を図っていた私立高校の人気が高まり、相対的に全日制県立高校の人気の陰りが見え、ここ数年は毎年2,000人以上の欠員が出る状況である。また、現在、中学校の卒業生が毎年7万人程度で落ち着いているが、今後二、三年で、さらに子供の数が激減することが予想され、県立高校における学びの在り方や存在意義も問われると思う。
県立高校は、子供たちが自ら自分のキャリアをデザインし、その目標に向かって学びを深める場であってほしい。そのためには、学校や教員も子供たちの後押しをするために学びをコーディネートし、必要な知識を伝授していく必要がある。昨年度から開始した、県立高等学校再編将来構想では、そうした取組をさらに加速化してほしい。
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